精霊の守り人

上橋菜穂子:文 二木真希子:絵
偕成社 1996

           
         
         
         
         
         
         
    
 では日本産のファンタジーは? といわれた時に『ジーク』と並んで出せるのは、このシリーズでしょう。
 女なのに武術の天才でめっぽう強く、なによりも闘うことが好きな流れ者、雇われ用心棒のバルサ。
 物語はたまたま川に放り出された王子を助けたバルサが、実の父の王からも、異界からも追われる王子をうっかり守る羽目になって始まります。
 いったいこれはどういうことなのか、という謎も追求しなきゃいけないし、迫り来る追っ手もかわさなきゃならないし、で、話は小気味よく進み、久しぶりに物語を読んでわくわくする≠ニいう気分を味わえるシリーズです。
 やさしく読めるにもかかわらず骨太でしっかりしているのは、自分だけを守ろうとする凡人たちのあいだで他人の幸福のためにがんばろうとする人々の苦悩が上手に織り込まれ、アクション・シーンを支えているからでしょう。(赤木かん子 『絵本・子どもの本 総解説第5版』)
テキストファイル化高橋美紀