世界むかし話―南欧―

木村 則子:訳 パパズ:絵 ほるぷ出版

           
         
         
         
         
         
         
    
    
 だいぶ日が短くなってきました。秋の虫も盛んに鳴いている夜、早めに床に入って昔ばなしを読んでもらうのもどうですか。その時におすすめの一冊が世界むかし話シりーズ(全十七巻)の中の南欧編です。イタリア、ポルトガル、スペイン、ギリシャの四ヵ国の昔話が三十二話集められています。
 イタリアでは気のいい若者のジュファーは日本の吉四六さんと同様で愉快に生きています。「ようせいにとらわれた王子」はハラハラドキドキします。
 ポルトガルの「家をとられた白いウサギ」は大きな荒くれ者のヤギが小さなアリの知恵に負けてしまいます。
スペインの「金の水さし」は宗教のところは十分理解できなくても、それ以上に昔話のもっている力で不気味な恐ろしさを堪能(たんのう)できます。その上読み終わって温かい幸せな気持ちになれます。
 ギリシャの「かにむすこ」「ネズミのむすめご」も楽しいお話です。
小さい人に向く話と大きい人にも聞きごたえのある話と、その時の気分によって選べます。こなれた日本語で読みやすく、美しいさし絵もお話に合って楽しさをふくらませています。
(亮)=静岡子どもの本を読む会
テキストファイル化山地寿恵