世界各国地理

竹内啓一著

岩波ジュニア新書 1987


           
         
         
         
         
         
         
         
    
 僕は『世界の国一覧表』という小冊子が大好きだ。いつまで見ていてもあきることがない。これには世界各国(この冊子によれば、八七年現在、わが国が承認している国の数は一六六、したがって世界の国は日本国を含めて一六七なのだそうだ)の面積、人口、主要言語、GNP、通貨単位、わが国との貿易高などが表になっている。だから、よく知らない国がでてきたときなど、ちょっと調べるのに便利だし、それになにより、資料を読む楽しみがある。このあいだ気がついたのだが、アフリカで日本との貿易高がいちばん大きいのは、あのアパルトヘイトで悪名高い南アフリカ共和国なのだ。
 つい最近、この冊子に似たエキサイティングなデータブックが出た。岩波ジュニア新書『世界各国地理』(竹内啓一著・六五〇円)がそれだ。これは見開きで、一国あるいは二、三国を扱っていて、左ページにその国の現状が簡潔にまとめてあり、右ページには、地図とデータがのっている。このデータは『世界の国一覧表』と重なる部分も多いが、出生率、死亡率、新聞や電話の普及率などものっている。これを読んで気がついたのは、乳児死亡率が日本の二〇倍を越す国は、アジアに六つ、アフリカには二〇近くあること。そして、日本の乳児死亡率は、スウェーデン、フィンランドとほぼ同じで、世界最低であることだった。(金原瑞人

朝日新聞 ヤングアダルト招待席 1987/07/05