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表紙がうーむ……なのでいまいち手を出す気になりにくいと思うんてすが(…さ・え・ら書房さま、なんとかしてくださいよ。何人もに見せて聞いたけど、ふだん子どもの本見慣れてない人は絶句してたぞ! ほかの出版社も似たよーなもんだけど)、物語は一級品です。 第二次世界大戦後の混乱のなか、ホームにいる女の子が主人公です。 彼女はずっと母親に虐待されてた子で、戦争直後の話なのにそれをきちんと出してくる、というのにも驚きましたが、母親が亡くなってしまったあと、たった一人の肉親のおばちゃんは彼女を引き取りたい……彼女も引き取られたい……なのに規則で、結婚していない人は引き取ってはいけない、というのがあるもんで、二人して必死でおばちゃんが結婚するのを待っている・・・彼女は子どもだけができるようなやり方で全身全霊をあげて必死で思いつめる……そういう待ち方をしながら、愛情が足りない、というのはそれはもう病気と同じ、私は愛に飢えて病んでいるのです……と彼女は、はっきりいうのです。 もちろん肉体も飢えていて、私たちはバターつきパンを食べて横になっているだけ、をくり返しました…バターが体にきいてどんどん力がついてくるのを感じました……なんていうおっそろしい描写もあったりします。 ホームにいる子はみんな傷ついているのでいじめも盗みもあり、しかも意地悪な大人もいます。でも、そんなことは目じゃないくらい、彼女は必死で、必死でおばさんを待っている……。その一刻一刻がこの子をむしばんていくのだというのがひしひしと伝わってきてとても痛いてす。(赤木かん子)
『かんこのミニミニ ヤング・アダルト入門 図書館員のカキノタネ パート2』
(リブリオ出版 1998/09/14) |
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