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ジル・ぺイトン・ウォルシュは日本でも人気の高い児童文学作家です。代表作はいろいろあるのですが、おそらくこの『死の鍾はもうならない』を知っている人は少ないでしょう。でもこれが私のお気に入り……なのよ〜。 ロンドンから服の型紙をとりよせたらそれにぺスト菌がついていて、一つの村に広がった……その頃のぺストにはうつ手があリませんから、その村から出ようとすると、まわリの町の人々に石を投げられる……ようするに封鎖されたりするわけです。 一人亡くなるたびに教会の鐘が鳴らされるのだけどみんな慣れっこになってしまって、もう鍾が鳴っても気がつかなくなる……最終的には村人の五人に四人か亡くなって、やっとぺストはおさまるのですが、これはそこでこの地獄を生きのびた一人の少女の物語です。家族も恋人も失って、彼女はある時はっと気がつく…もう教会の鍾が鳴っていないことにね。 で、惨劇の村から出ていこうとするわけですが、村の境界のとこで足が動かなくなるんです。そうして、一度もどって、起きたことをあらいざらい書いて書いて書いて、ようやく彼女は村から出ていけるくらいまでは自分の傷を癒せたというわけなんですが(それが、つまりこの本、という仕組みなのてすが)『かんこのミニミニ世界児童文学史』で紹介した『パティの宇宙日記』とあわせて読んだ時に、やっと私はウォルシュのテーマがのみこめたんだ。つまり、人は、なぜ書くかってことを-。 というわけで、モノ書きにとってはこの二冊は感慨深い作品で心魅かれる次第です。(赤木かん子)
『かんこのミニミニ ヤング・アダルト入門 図書館員のカキノタネ パート2』
(リブリオ出版 1998/09/14) |
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