しずくの首飾り

ジョーン・エイキン

猪熊葉子訳 岩波書店

           
         
         
         
         
         
         
    
 この本は奇想天外ホラ話-。それも昔からあるものじゃなくて、現代の作家が作った、創作モダンホラ話です。
 ま、その代表はイギリスの女流作家、エィキンの作品群でしょう。
 『ウィロビ-・チェースのおおかみ』(冨山房)のシリーズでまともな歴史児童文学を書いてるふりをしながら、その実、自分がデッチあげた存在しないイギリスの時代を大真面目に書く、というホラをやってのけたお人です。
 なんというか……この人の本読むと、つくづくとイギリス人だよねえって思うよ。
 この人のしかつめらしいユーモアって…あのイギリスのギャグ番組「モンティ・パイソン」とか、ルース・レンデルとかと似てると思うもの。
 たくさんの本かあリますが、あんまリあくの強くないのが好みの人なら、とても美しい表紙がついてるハードカバーの『しずくの首飾リ』…これはどっちかというと大人の女の人でも可、というロマンチックタイプ。
突拍子もないホラ話をおかしがる子どもたちには『とんでもない日曜日』(岩波少年文庫)がいいでしょう。
 エィキンは全部買ってもいいですが、もし、どうしてもたくさん買えないの〜というのでしたら、この二冊は最低そろえてください。
 もちろんこの二冊は読みきかせ用です。
 国語の教科書のどれかに『しずくの首飾リ』の中の「三人の旅人」が入っていました。
 教科書に載ってる話は一応チェック…です。(赤木かん子)
『かんこのミニミニ子どもの本案内』(リブリオ出版 1996/07)