|
知らないおばあさんから「私のお金をかえして」とかすれ声でへんな電話がきた。その時から「ぼく」のまわりに奇妙なことがおこりはじめる。 白髪のしわだらけのじいさまが電車の窓ガラス、鏡の中、はては授業中にまで突如出没する。しかも、他の人には見えないらしい。 会社の犠牲になって父親が失業したことから一変した「ぼく」の生活と心象風景が、家族や友達などとのからみあいの中で、ミステリアスに語られる。 さて、「ぼく」がエイリアンと呼ぶ「じいさま」の正体は? 意外な結末に、しみじみとした余韻を味わう。 この本は活字離れの今の子にも読みやすい工夫がされているが、これを機に「ひげよ、さらば」「目こぼし歌こぼし」「ちょんまげ手まり歌」「日本宝島」等の上野暸文学の 奥深さにふれて欲しい。(く)=静岡子どもの本を読む会
テキストファイル化山地寿恵
|
|