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あの、世界を魅了した『のっぽのサラ』の続編。 パパとサラの結婚式の場面から始まり、しばらく4人の幸せな日が続く。やがて大草原は大干ばつにみまわれ、待てども待てども雨は降らず、井戸の水も涸れてしまう。まわりの人々は次々に土地を捨て、大草原を出ていく。支え合ってきたマギーさん一家も去っていく中、ジェイコブ一家は最後まで頑張るが、納屋が火事で燃えてしまう。サラと子どもたちは、サラのふるさとメイン州に移らざるを得なくなる。パパを大草原にひとり残して…。 続編を書くつもりのなかった作者にペンを取らせた読者の熱い要望。その期待に応えて、作者はさらに“家族”の物語を一歩すすめた。舞台は大草原からメイン州に広がり、海で暮らすサラの兄やおばたちが加わり、大きな広がりを見せている。『のっぽのサラ』は、余計な表現が一切ないと思われるような、完結した、美しい詩的な物語だった。その世界を拡散させることなく、新聞広告で花嫁を迎えたガラス細工のような家族が、大自然の脅威や試練をのりこえて、本物の家族になっていく過程が、実にリアルに描かれる。(前作で「ニューベリー賞」と共にすぐれた歴史小説に与えられる「スコット・オデール賞」を受賞したのもうなづける)アンナの目と心を通して。 この子どもの目の高さから生まれる平明で、簡潔で、詩情あふれる世界こそ、マクラクランのものであり、作者の人間に対する鋭い洞察や深い信頼が行間にあふれて、読者の共感をさそう。その読後感がいつもさわやかなのは作者の知性によるところが大きいだろう。 中村悦子さんの絵もピッタリ。 『のっぽのサラ』同様、アメリカでテレビ映画化され、多くのファンを魅了し続けているとのこと。(藤江 美幸)
読書会てつぼう:発行 1996/09/19
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