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『心のきれはし 教育されちまった悲しみに魂が泣いている』(ポプラ社)で、学校教育と児童書の現状に、鋭く斬り込んだ矢玉四郎の最新作。親や教師や児童書の媒介人の良識や見識をモノとせず、読者である小さな子との直取引をねらった快作である。 親のポラロイドカメラを持ち出して遊んでいた少女が、鏡の中に突然現れたスイカお化けにシャッターを押す。お化けが写真に撮られたりしたら、仲間にボコボコにされてしまうというので、少女はお化けに扮してお化けの世界に。ところが、警察お化けにつかまって、閻魔大王みたいな裁判官に、お化けテストの尋問を受ける。「お化けに毛が何本」とか、「島の中に白熊は何頭」とかいったなぞなぞに答えなくちゃいけない。少女は知恵をしぼって全問正解するが、お化けはそんなに頭がよくないと、人間だあることがばれてしまう。スイカお化けはスイカ割りに、少女は虫歯を抜かれるはめになる。しかし、二人が結婚すれば、免罪されるという。それで、お化けと少女の結婚式が。 一難去ってまた一難。ハラハラドキドキしながら、一件落着。奇妙なお化けキャラクターといい、裁判官の怪しげななぞなぞの連発といい、幼い子の好奇心や興味を見事に取り込み、彼らの感性に刺激しながらの物語展開は、さすがである。(野上暁) 産経新聞2001.05.15 |
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