スプーンおばさんのぼうけん

アルフ・プリョイセン/大塚勇三=訳
学習研究社/1968

           
         
         
         
         
         
         
     
学研の新しいファンタジーシリーズの中に入っていて、これまたとてもファンが多かったシリーズです。ある朝、いきなりティースプーンほどの大きさになってしまったおばさんの愉快な物語です。いきなり小さくなっても「あれ小さくなっちまったよ」と言ったきりショックもヒステリーも起こさず、周りの動物たちを使って家事でもなんでもやってのけるスプーンおばさんは、今考えるとたいした大人だったよね。
 なんの前触れも理由もなく、いきなり小さくなったり元にも戻ったり、犬やねずみや猫や力ラスといくらでもロをきける世界にたった三行や五行で読者を連れてってしまう作者の腕は、たいしたものです。
 この本の初版(日本でのです)は一九六八年ですが、その頃はこういう明るいほがらかなファンタジーは日本にはなかったので、日本の子どもたちにはプロイスラーと共に大変歓迎されました。
 作者のアルフ・プリョイセンはノルウェーの人で、学校には行ったことがなく農場で働かなくてはならなかったそうですが、歌や物語がうまく、いわば村の吟遊詩人から作家になった人だそうです。(赤木かん子)
『この本読んだ? おぼえてる?』(フェリシモ出版 1999)