すてきな三にんぐみ

卜ミー・アンゲラー/作
いまえよしとも/訳 偕成社

           
         
         
         
         
         
         
         
    
 子どもたちのスーパーアイドル、ロングセラー『すてきな三にんぐみ』です。
 黒い帽子に黒マント、月だけをぎろっと光らせて、BGMをかけるなら「ピンクパンサー」あたりはいかがでしょうか……。
 強盗稼業に精を出し、荒稼ぎしていた三人組があるとき捕まえたものは……いじわるなおばさんのとこへやられるところだった、みなしごのティファニーちゃん……。
 翌朝宝の山をみて、これ、どうするの? とティファニーに訊かれて、三人組は困ったね、なんにも考えていなかったんだから-。
 で、結局彼らはね、淋しくて悲しくて暗い気持ちで暮らしているみなしごやすてご、を集めに集めて、お城をひとつ買ったのよ。みんなで暮らすようにってさ。
 でもホントに凄いのはここからあとよ。だって、三人が集めた(うわさをききつけて集まってきた)みなしごたちは、みんなすくすく育ってのびのび結婚-お城のまわリで所帯を持って、とうとう村まで、できるんだもの!
 子どもを引きとって育てようとすることは誰でもできます。でも、一度傷つけられてしまった子どもたちを、のびのび結婚できるまで育てあげることの、なんと難しいことか。
 だって、愛されないで育ってしまったら、ほかの人を愛するのは難しくなるんだもの。
 この三人組の包容力は、この世のすべての子どもたちの憧れです。
 そうして、すべての親たちの-。(赤木かん子)
『絵本・子どもの本 総解説』(第二版 自由国民社 1997/01/20)