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これは文春文庫ですから大人の本として出されたものです。 で、確かに、ハードカバーで出されたとしてもやっぱリ分類は933英米一般文学の棚に入るだろうな……。 でも内容的には子どもの本が好きで読んでいる大人の読者には、とてもショックで刺激的でおもしろい本でしょう。 一組のヤッピーの夫婦がうまくいかなくなったところから話は始まります。意気投合して結婚し、いい金を稼ぐこの二人は自分の家……にその金をつぎこみます。湖のそばに自分たちで設計した誰もがうらやむような家を建て、ヨットを買い……ってわけよ。 うまくいってる時はいいですが、ダメになるとこういう分けられないものってやっかいでしょ? それぞれ恋人もでき、家が欲しい二人は一人息子をあいだにはさんていがみあいを始めるの……それぞれ、あなたのことは愛しているんだよ、と息子にいいながら。彼は当然苦しみます。親の離婚の苦しみと、それ以上に家を親同士で引っぱりあっている間、彼には自分の居場所がなくなってしまったからです。思い余った彼は、必ず勝つので〃悪魔〃と呼ばれている弁護士をテレビで見て、彼に相談にいきます。その弁護士がテレビで離婚は悪だ、といっていたからです。 離婚がテーマでも児童文学の形式ではここまで書けません。で、その弁護士が彼が児童虐待で親を訴えたい、というのを引き受けたあと、どうなったかは読んでのお楽しみにすることにして、このテーマに興味のある人は一度は読んでみても損はないでしょう。(赤木かん子)
『かんこのミニミニ ヤング・アダルト入門 図書館員のカキノタネ パート2』
(リブリオ出版 1998/09/14) |
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