デルトラ・クエスト

エミリー・ロッダ・作
岡田好恵・訳、岩席書店

           
         
         
         
         
         
         
    
 長い物語を一気に読み終えた時の快感。子ども時代小説好きだったあなたなら覚えているはず。それを今の子どもに味わって欲しいなら、オススメは『デルトラ・クエスト』(エミリー・ロッダ・作、岡田好恵・訳、岩席書店、各八百)。全八巻、千六百ページだよ。
 影の大王によって支配されているデルトラ王国。それを救うためには、失われた7つの宝石を集めて、本当の王位継承者に手渡すしかない。リーフと仲間のバルサ、ジャスミンは旅立ちます。
 全八巻でしょ。だから、七巻目までは一巻ごとに一つの宝石を見つける物語。シンプルですよね。でも毎回違う謎解きがあって、残りがあと三十ページほどになり、これでどうして宝石を手に入れることが出来るのだ! と心配するのに、物語はいつも納得のいく解決方法を提供してくれる。これがドキドキして楽しい。八巻目はその王位継承者は誰か? です。もちろん答えは書きませんよ。作者の巧さに騙されず、正解できますように!
 表紙のテカテカさに、大人は引くかもしれない。でもこれは、カードゲームのカードに似せてある。それが、敷居が高くない物語だってことを伝えてくれているから、子どもは手に取りやすい。そして、八巻もの物語を自分は一気に読み終えたんだという満足感。
 昔、小説好き子どもだった私は、その経験、いや、体験を今の子どもたちにもぜひ味わって欲しいって思う。(ひこ・田中
読売新聞2003.03.17