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えーとですね、この本は一九八七年四月から一九九一年二月まで、朝日新聞の日曜版に載っていた〃ヤングアダルト招待席〃というコラムをまとめたものです。 担当は私、赤木かん子(連載の時は〃幹〃というマークがついていた)と、金原瑞人氏(マークは〃瑞〃)の二人で、一週間交替、つまりは月二回、隔週ね、で書きました。 最初に私たち二人を朝日新聞に紹介してくださったかたがどなたなのか、いまもって存じあげませんが、どうもありがとうございました。 ティーンエージャー向きの新刊紹介ということで、三カ月以内の発行に限る、という条件がつき、二週間に一冊、自分がぜひ紹介したい、と思う新刊書にぶつかる、というのはかなり大変なことで、シンドイ時もありましたが、ずいぶんと勉強になり、百パーセントやってよかった仕事でした。 あれから、内容がどうであれ、新聞連載をなさっているかたの悪口は極力いわないように心がけております。 というわけで、こうやって一息に並べると、このなかに入れるにはちょっと弱いなァ、という本があったり、こ三、四年のあいだに、もう討ち死にしてしまったり、逆にますます光り出してる本もあり、いろいろいろいろ考えてしまうんですが、〃なま〃ってのは凄いもので、時代の息吹、みたいなものはやはり伝わってきますね。たった三、四年前で、息吹もへったくれもないょーなもんですけど……。 というわけで、私が最初感じてたよりは、楽しめる本になっているのではないかと思います。 ちょうど、日本の文化の激動期、にぶちあたっていた、というのも大きいと思うな。なにせ、書いていて良かれ悪しかれ、ドキドキワクワク、ボーゼン、とする日々だったもん。 いま、多少とも落ち着いたような気がしますので、これを出すにはいい時期だ、とも思います。といっても本というのは恐いもので、これを手にとっていま読んでらっしゃるアナタがいるのは二○○一年、ということもありうるわけで…。 これはあくまで一九九三年、九三年の話ですので、そこんとこは割引いて、お考えください。 あっ、あと、〃ヤングアダルト招待席〃というネーミングは、朝日新聞のものだそうで残念ながら、今回使わせていただけませんでした。 本を選ぶ時の基準は自分なりに 一、すべての差別をなくす方向にいくものであること 二、内容的に(作者本人の意図がどうであれ)、いまを生きなければならなティーンエージャーたちの力になれるものであること 三、なるべくなら宣伝力のあまりない出版社の本を発掘すること というように一応は思ったんですけど、うまいこと成功したかどうか……。 でも、連載のおしまいの頃には、いまの新聞書評には珍しく、あのコラムに載ると、何百冊か、何千冊か、本が動く(つまり売れる)とこまでこぎつけたので、私としてはまあまあどころか、大成功だった……! と自画自賛しております。 とにかく、ここ何年かのあいだ、私をバックアップしてくださった、本当に数えきれないほどのたくさんのみなさん、および、新聞連載を読んでくださっていた読者のかた、および、あれを読んで本を買ってくださったかた、みなさんに、心から感謝しています。 こんなとこでまえがきなんぞはおしまいにして、では本文を、ごゆっくりお楽しみください。(赤木かん子)
『赤木かん子のヤングアダルト・ブックガイド』(レターボックス社 1993/03/10)
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