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日本の児童文学って、ホントつまらない、なんていうと、非難の石つぶてがあめあられととんできそうだけど、正直、そう思っちゃうんだよね(もちろん常に若干の例外は、あるわけですが)。で、どうしてそう感じるのかな、ってずっと疑問に思っていたんだけど、『泥棒をつかまえろ!』を読んだ時に、少しわかったような気がしたの。これ、キャンプに行ってお金を盗まれたティーンエージャーたちが、泥棒だと思った男を追っかけていって、山の中で袋だたきにする話。 (ぼくは自分になにが起きたのか、いまだに理解できないんだ。…:目の前に横たわっているのが人間だとは夢にも思わなかった。……あれはひどく簡単で当然のことだったのだ) 探偵気どりで正義の味方、だった男の子たちが集団暴力に変身する瞬間、正義が悪に変わる瞬間を、この本はしっかりと描いているし、それだけではなく、悪夢から覚めたあと、それをどうお互いにごまかして生きていくかまできっちりと描いてくれている。とくにこれをやらせた先生の逃げ方の描き方はみごとです。 で、さっき日本の本の悪口をいったけれど、実はあったのです、これに匹敵する本が。那須正幹の『六年目のクラス会』(ポプラ社)-これもぜひ、目を通してほしい本です。(赤木かん子)
『赤木かん子のヤングアダルト・ブックガイド』(レターボックス社 1993/03/10)
朝日新聞1988/07/17
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