どろんこハリー

ジーン・ジオン文/マーカ゛レット・フ゛ロイ・ク゛レアム絵
渡辺茂夫訳/福音館書店/1964

           
         
         
         
         
         
         
     
 この『どろんこハリー』もとても人気のある絵本です。白に黒いぶちのある犬、ハリーがおフ口をいやがって逃げ出し、さんざん遊んで〃黒に白いぶちのある〃犬になって帰ってくると、家族は彼のことが分からないの。で、考えたあげく、庭に埋めたブラシを掘り出して洗ってもらったらハリーだと分かってもらえた、というお話です。でもさ、私、グレアムの絵自体はすごーくすごーく好き。ハリーの絵もすごーく好き。でも三十八ページの『あおくんときいろちゃんと同じく、そんな汚れたくらいで自分ちの犬や猫の見分けがつかなくなるもんかいってどうしても思っちゃうのっ!
 うちにもたまちゃんって猫がいたけど、どんなに汚れたって絶対たまって分かるわよ。その顔の表情を見れば……。って思うんですけどみなさんどう思います? ド口ド口に汚れたら自分の子って分からなくなると思う?
 というわけで『どろんこハリー』は私にはう〜ん、好きな絵なのにな、という絵本になってしまったんです。グレアムの絵本なら『はちうえはぼくにまかせて!』のほうがずっと好き。(赤木かん子)
『この本読んだ? おぼえてる?』(フェリシモ出版 1999)