太陽の木の枝

フィツォフスキ・再話
内田莉莎子・訳 堀内誠一・画 福音館書店

           
         
         
         
         
         
         
    
    


 めずらしい美しいジプシーのむかしばなしはいかがですか。キラキラ輝く二十三編の物語が、この本と「きりの国の王女」の二巻に収められています。自由を何より大事にし、旅することの喜びと、人を愛する心を持つジプシーの物語です。
 太陽と月と星と雲、いい魔女と悪い魔女、森と小鳥、そして音楽。それらの中でジプシーたちがさまざまな活躍をします。読み手の心まで、自由に解き放ってもらえます。堀内誠一さんの絵が、想像の翼を広げる楽しい手助けをしてくれています。訳もすばらしい。
 この二冊は、今まで品切れになっていたのが、復刻本として出されたものです。真にすぐれた本が、品切れ、再版未定、絶版となり、手に入らないことがよくあります。子供たちに楽しく美しい本を手わたしできるように、大人たちが出版社に呼びかけていくということも必要かもしれませんね。
 不思議な出来事、愛の物語がおもしろくないわけがありません。子供も大人も満足させてもらえます。
 (弥)=静岡子どもの本を読む会
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