太陽と月になった兄弟

秋野 靱子:再話・絵
福音館書店

           
         
         
         
         
         
         
    
    
 むかし、空にまだ太陽も月もなかったころの、南米アンデス山中の小さな村の話。
 人びとは、澄んだ空の明かりのもとで、リャマやアルパカを飼い、いもなどを作って暮らしていた。
 村には、アリとヤシというふたごの兄弟がいた。
 ふたりはいつも一緒に野山をかけまわって育ち、そのたくましい力と知恵は、村にはなくてはならぬ若者になった。
 そんなある日、空じゅうに黒雲が押し寄せ、ひょうがふり、澄んだ空を灰色に覆ってしまった。すると大地が冷え、作物が枯れ、家畜が死に、たちまち食べ物がなくなった。村人はたき火をして神に祈ったが、空は覆われたまま。
 そこで、アリとヤシが、天をおおった灰色の魔物を引き下ろしに。
横長画面の見開きいっぱいを縦に使い、天に上っていく兄弟がたくましく描かれ、やげて、灰色から太陽の光につつまれた草原で踊る人びとの画面へと変わり、スケールの大きなボリビアの民話を、絵が語りかけてくれる。
(も)=静岡子どもの本を読む会
テキストファイル化山地寿恵