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きょうだいものの名作『ティッチ』です。 ティッチは小さな男の子でした。姉さんのメアリはティッチよりちょっと大きくて、兄さんのピートはティッチよリずっとずっと大きいわけです。 だからピートとメアリはちゃんとした自転車を持っているのに、ティッチはダサい三輪車。 ピートとメアリは本物のたこを上げているのに、ティッチが持っているのは小さな風車-。 私は長女なので、こういう悩みは一切感じたことがなく、あとから来た者の悲哀というのがわかりませんが、こっちからみてどうということがないことでも、本人にはなかなかつらいもののようです。 なにせ、三○才になってもまだくやしがってる人もいるんですから-。 その悲哀をどう解決してやるか……。なにせ体は小さい、力は足りない、という現実はどうしようもないわけで、才人、ハッチンスがこれをどう解決するか……。あれもダメ、これもダメ、と列記されているのを読んでいくと、ハラハラ、ドキドキしてきます。 まァ…うまいよ! さすがだね。 どうぞきょうだいがいて、いつもいつも小さいものの悲哀を味わっているかたがいらっしゃいましたら、ぜひ『ティッチ』をよんであげてください。それから上のお子さんにも、そういう感情が存在するんだよってことは教えたほうがいいと思います。なんてったって上の子は〃強者〃ですから-。(赤木かん子)
テキストファイル化塩野 裕子
▼パット・ハッチンス/1942年イギリスのヨークシャー生まれ。本書の続編に「ぶかぶかティッチ」がある。74年に出した「かぜがふいたら」でケイト・グリーナウェイ賞受賞。 ところで、ケイト・グリーナウェイ賞とは、イギリスの図書館協会が子どもの本のイラストを対象に贈る賞で、56年に絵本画家ケイト・グリーナウェイにちなんで創設されたもの。
『絵本・子どもの本 総解説』(第二版 自由国民社 1997/01/20)
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