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これはとっても古典的な絵本です。アーディゾーニは、チャールズ・キーピング、バーニンガムやワイルドスミスとならんで、イギリスで五本の指に入る絵本作家ですから、絵がいいのはいうまでもありません。抜群です。 海のそばにすむひとりの小さな男の子が、船のりになりたいと願い、こっそりと大きな汽船にのりこみ、よく働いて可愛がられる・・・・・・こんな冒険はいまどきできるもんじゃありません。船からすぐにおうちに連絡がいって、途中でおろされてしまいます。 ということに気がつかない小さいうちならば、たいていの男の子はチムと一緒にワクワクドキドキ、沈む船に残された、勇敢な船長とチムを思ってハラハラできるでしょう。 この薄い絵本には、冒険小説が持っている醍醐味がすべて入っているのです。ぜひ、楽しめるうちに読んであげてください。(赤木かん子 『絵本・子どもの本 総解説第5版』) テキストファイル化 角田佳代子 |
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