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これ、ずーっと以前に課題図書になった本ですが、確か新装版でまた出してくれました。 チェックして持ってない図書館は買ってください。 これはデンマーク出身、アィルランド在住のエリック・C・ホガードの書いた反戦文学の傑作です。ホガードの物語は、ほとんど歴史、戦いのなかで庶民がどう必死に生き抜くかがテーマで、どれも優れてますが、これがやはり一番できがいいでしょう。 舞台はイタリア……グイド、というリーダー格の少年を中心に、戦争孤児たちが何人か集まって、生きのびられるところ、生きのびられるところ、と放浪していく話です。戦が始まれば、一番痛い目にあうのは子どもと病人と老人、と相場は決まっています。 日本ても子どもたちはひどい目にあうことが多かったわけですが、日本の、私たちは被害者……という本と、この本が決定的に違っていたのは、怒りでした。自分たちがこういうひどい目にあうのはなぜなのか、誰がやったのかを追及していく原動力は怒りです。 ただし、そういう非常事態のなかでも人をいじめない者と図にのって悪さをする者とをグイドの冷静な眼は的確に見わけ、かつ最大の責任者はムッソリーニだ……というところまで徹底的に追及していく激しさは日本の反戦文学……と呼ばれている子どもの本にはないもので、この本を読むと、日本のそのテの本のどこがどう偽善的なのか実によくわかります。 古い本ですが、今でもちっとも古くなっていません。(赤木かん子)
『かんこのミニミニ ヤング・アダルト入門 図書館員のカキノタネ パート2』
(リブリオ出版 1998/09/14) |
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