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弟や妹ができてやきもちをやく、というテーマの本を集めてみました。比べて読むと、親子関係のパターンがいろいろ見られて面白い。 「せかいいちのあかちゃん」の主人公リリーは、やきもちをやくあまり、弟にいじわるをする子ども。両親が機嫌をとっても、リリーの気持ちはおさまりません。親が懐柔作戦に出れば出るほど、意地をはって弟にいじわるをする始末(あげく夢の中で弟に報復されちゃったりしてますが)。親はといえぱ、言葉でしかることはしませんが、絵の中ではかなり怒っているのがリアルです。 「おねえさんになるひ」のソフィーは、寂しさのあまり、雪の降る庭に出て、大声で泣き出します。「もう、あかちゃんなんか、どっかいっちゃえ!」と。ここで、赤ちゃんの世話に忙しいお母さんにかわってお父さんが登場します。泣きじゃくるソフィーをぎゅっとだきしめ、「ソフィーのきもち、おとうさんにはよくわかるよ。おねえさんになるって、たいへんだね」となぐさめるのです。お父さん、あなたはえらい! 「赤ちゃんがきた!」のダービトは、かなり内省的な子ども。妹ができてうれしいけれど、本音は「ぼくだって赤ちゃん、好きだよ。でも…一人っ子の方がよかったかな…」。ひとりで考えて、ひとりで解決策を見つけていくけなげな子です。両親は、限りなく忍耐強い態度でダービトに接し、下どもと緒に考えるという姿勢をくずしません。 「ごきげんなすてご」の主人公の〈あたし〉はかなり行動的な子ども。「こんなおさるの弟はいやだ」とばかり、家出を実行してしまいます。そして、あくまで「どこかに、あたしをもらってくれるお金持ちいないかな」という夢をつらぬきとおすのです。もちろん、いい家にもらってもらうための自己ピーアールも欠かさないという、かなり個性的な子どもです。そして、親はといえば、にこにこしながら、「おさるのおねえさんになってくれる子をさがしています。もしよかったら、うちの子になってくれませんか?」とユーモアたっぷり。ゆとりの親です。 どのお話も、途中かなりはらはらさせられますが、子どもはみんな最後にちゃんと、新米お兄ちゃんお姉ちゃんという壁を克服して、元気になるところが、嬉しい。 物語の中でも、「この親にしてこの子あり」というのは、真実のようですが、はてさて、みなさんのお宅はどんなパターンの親子関係でしょうか? (米田佳代子)
徳間書店 子どもの本だより1998/09,10
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