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すぐれた児童書はロングセラーとして読み継がれるもの…子どもの頃に読んだ本を自分の子どもに手渡していく…。というわけで、今回は徳間の「古い本」シリーズ。原作が出版された年の古い順にご紹介しましょう。 第一位は、「チョコレート王と黒い手のカイ」。十九二五年の作品です。エーリヒ・ケストナーの「エーミールと探偵たち」の原点となったドイツ児童文学の古典的名作。七十年以上も前に書かれているのに、「今でも本当にすごい!」と評されています。次に古いのは「ぺニーさん」。一九三五年にアメリカで出版されました。読者からは、「こんなに優れた本が 今まで翻訳されていなかったのが不思議」「白黒なのに古ささを感じない絵」「今の絵本にはないゆったりとした時の流れとおおらかさがあって、豊かな気持ちになれる」などというお便りがよせられています。 一九三九年にアミリカで出版されたのは「たのしいABC」。「食べたくなる色」「うちの子の宝物になる」「昔の本とは思えない」などというお便りがよせられています。「たくさんのお月さま」は一九四三年の作品。米国の優れた絵本に与えられるコールデコット賞を受賞しており、長らく邦訳が待たれていたためか、「何冊も買って、知り合いの子にプレゼントしている」「ずっと待っていました!」という声がよせられています。 お次は「極北の犬トヨン」。一九五〇年の作品。ドイツ児童図書賞を受賞し、邦訳が絶版になった後、復刊が長らく望まれていた作品です。 「ぺニーさん」の続編「ぺニーさんと動物家族」は一九五六年の作品。待たれていた作品です。 「タンギー」は、一九五七年にフランスで出版。当時ジャン・コクトーら著名な作家からも絶賛された作品ですが、そこに書かれている戦争の真実、人間の尊厳は今読んでも感動を呼び起こします。 そして、三月の新刊「すももの夏」。一九五八年にイギリスで初版が出版され、今でも読みつがれている作品です。 「古い」のに古くない本、古くならない本。ここにあげた本ばかりでなく、これからも「古くても古くない本」があったら、積極的に紹介していきたいと思っています。 (米田佳代子)
徳間書店 子どもの本だより 1999,03.04 第5巻 30号
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