ともだち つれて よろしいですか

ビアトリス・シェンク・ドゥ・レニア/文 モントレソール/絵
渡辺茂男/訳 富山房 1974

           
         
         
         
         
         
         
     
 王さまとお妃さまが日曜日のお茶にぼく≠招待して下さることになりました。
 (ぼく≠チてだあれ? とか、どうしてなの? なんて訊かないでね。そういうことはこのご本には書いてないのよ)
 そこでぼく≠ヘたずねます。
「ともだちつれて よろしいですか」
 そうするとお二人は答えるの、
「いいともいいとも。友だちの友だちなら大歓迎だ」ってね──。
 でぼく≠ヘ友だちのきりん、を連れていきます。きりんはお茶のテーブルにはいかんせん大きすぎますし、お行儀だって、ちょっと……でしたがお二人はなんにもおっしゃいません。
 きりんの次はかば、かばの次はさる、さるの次はぞう……、みんなお茶の席につくには少々問題がありましたが、それでもお二人は心から楽しみ、少しも嫌がったりなどせずぼく≠フ友だちを大歓迎してくれるのです。
 気にしているのを我慢するのではなく、初めから気にしない、本当に心から喜んでくれる……なぜって、みかけやお行儀はどうでも、かれらは誠実で心正しい、お二人に紹介して恥ずか
しくない友だち≠ネんですから──。
 このお二人のように御両親にお子さんを愛して欲しい……そしてお子さんの友だちも……。だって子どもの選んだ友だちを喜んで迎えてあげないってことは、ひいてはその子自身のこと
も喜んで迎えてあげていないってことなんですから──。(赤木かん子)
『絵本・子どもの本 総解説』(第四版 自由国民社 2000)
テキストファイル化岡田和子