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『ツハメ号とアマゾン号』は全部で十二巻からなる、ランサム・サガ(物語)と呼ばれている連作の第一巻です。夏休みの間、イギリス北部の湖の中の小さな島に、子どもたちだけでキャンプし、小さなヨッ卜を乗り回して海賊ごっこや宝探しをして遊ぶ、いわば「本物のごっこ遊び」の楽しさを心ゆくまで昧わわせてくれる物語で、これにはまる人はめちゃくちゃはまるんですよね。 このシリーズにのめり込んだおかげで自然監視員になったり、船医になったり、ヨッ卜始めたりという読者が後を断たないというタイプの物語です。実をいうと私もそうだけどさ。私は中学一年でこのシリーズにのめり込み、ヨッ卜を習いに行き、あまり人に読んでもらえないこの本を人に紹介したいあまり、書評を書くようになったんですから……。 もう今の子たちに読んで、というにはややテンポがのろいかもしれませんが、逆に朗読するには向いています。といってもあの厚い本を全部声に出して〃読む〃なんて考えたら気が遠くなるけどね。二十代で初めて読んでのめり込む人も結構いますよ。(赤木かん子)
『この本読んだ? おぼえてる?』(フェリシモ出版 1999)
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