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これが初めてスウェーデンで書かれた時、日本で初めて訳された時は、確かにこの本は四〜五年生が自分で読んで楽しむ本でした。 でも、いまどきの日本の小学校四〜五年生で、サーカスに行ってゾウを持ち上げたいとか、大男と戦ってみたいなんていう、素朴な子どもは、ほとんどいません。 いることはいますよ。 お父さんやお母さんや先生や、まわりの大人がみんなマトモな大人で、したがってぬくぬくと子どもやってられる子だっていないわけじゃありませんが・・・。 だからそういうとこなら、まだ本はとても良質な知的な刺激の道具になるし、岩波の名作シリ-ズがそのまんま、大喜びで迎え入れられます。 でもそうじゃないとこでは……。 精神的にどこまで荒れてるかで、どのタイプの本がいいかも決まってくるわけですが、おおむね、いまの日本の現状では、ピッピの冒険談を胸おどらせてきいてくれるのは小学校の一〜二年生あたリまででしょう。 ということは読んでもらえないかぎリ、ゼーッタイにこの本には出会えないってことだし、活字を読むのが苦手な子でも、お話きくのは大好きって人はかなりいます。 〃ピッピ〃や〃やかまし村〃のシリ-ズは、まだこの世の荒波にあまリもまれないうちにぜひ読んでもらってほしい本です。(赤木かん子)
『かんこのミニミニ子どもの本案内』(リブリオ出版 1996/07)
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