のはらクラブのこどもたち

たかどのほうこ作 理論社
2000

           
         
         
         
         
         
         
    

「なにげないけど、すてきな1日」
 たかどのほうこは二人いる。ゆったり、ふんわり子ども時代を満喫しているたかどのほうこ。大人への細い道を自分の頭とからだをしっかりつかって踏みしめて進む高楼方子。どちらもいなくては、作家として在ることができなかったのではないか。二人の作家に会えて幸せに思う。
 『のはらクラブのこどもたち』は二重、三重に楽しめるつくりの童話になっている。表紙、見返し、裏表紙にも作家はおたのしみを隠してくれているし、ストーリーのなかで野草達の見つけ方や遊び方を教えてくれている。なんといっても、登場する子ども達が、かわいい。なぜって……それは読んでからのお楽しみ。
 こんなふうに、なにげないかたちで子ども達に楽しみを伝えてくれる本を見つけると、とてもうれしくなる。伝えるために、たくさん工夫をこらしているのに、その跡が見えないところが、作家の力量を感じさせる。それが、プロのお仕事ってものですね。こういう本をつくろうと思ってから、とても楽しんで草花をみつめていたんだろうな、たかどのさんは。わたしも子どもと野原にいこう。カーラちゃんやすずちゃんには会えるかな。こんちゃんがいたら、びっくりするだろうな。細江幸世