奈良の大仏

香取 忠彦・著
穂積 和夫・イラスト 草思社

           
         
         
         
         
         
         
    
    
 「日本人はどのようにして建造物をつくってきたか」というシリーズの中の一冊。奈良の大仏と大仏殿ができるまでを、絵と文で説明している本です。でも、仏像や寺院の造り方を書いただけのものでは、ありません。
 昔の人は、いったい何を考えて、何のためにあんな大きな仏像を造ったのでしょう。ブルドーザーもクレーンもなかったとき、どんな工夫をして十六メートルもの高さで、金属を溶かして仏像の形を造ったのでしょう。それを造った人たちは、いったい何を食べ、何を着て、どんな風に仕事をしていたのでしょう。そして、そうしたこと全部があった昔、今から千二百年も前の天平時代、日本はいったいどんな世界だったのでしょう。
 建物のできかたを調べるということは、それを造った人たちを調べることですし、その人たちが暮らしていた社会を調べることでもあります。絵がたくさん入っている本ですから、ふつう文章ではよく分からない細かいことも、見ることができます。昔と変わったこと、変わらなかったこと。良くなったこと、ならなかったこと。いろいろ考えてください。
 絵だけを見るなら、小学校中学年から楽しめます。
(佐)=静岡子どもの本を読む会
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