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口数の少ない絵本です。言葉は少しで、絵もとてもシンプルです。 たとえば最初のページは右側に「あついひ」の四文字、左側には青空と砂丘と子犬だけ。これは絵に描いてあるものを見て楽しむためのものはなくて、そうした【少なさ】が表わしているものを感じとる絵本なのです。 たとえば晴れた夏の日の砂丘のように、なんにもない世界で、小さな黒いのらいぬのように、ひとりぼっちだと感じること。そうすると、ひとりでいる時、言葉はなくなってしまうことがわかるでしょうし、夢からさめた子犬が目をあける所では、絵から「しん」という静けさが聞こえてくるような気持ちになるでしょう。 そして、ひとりぼっちは、ちっともつらいことではないということもわかるでしょう。なんにもない砂丘は、なかなかあったかいのです。 小学校高学年から。中学生、高校生にも読んでもらいたい本です。もちろんおとなにも。 (岡)=静岡子どもの本を読む会
テキストファイル化塩野裕子
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