ナシスの塔の物語

みおちずる

ポプラ社

           
         
         
         
         
         
         
    
 最近読んだ物語のなかでよかったのはポプラ社が出した、みおちずるの「ナシスの塔の物語」ですね。
 砂漠の辺境の町、ナシスを舞台に、町の人々にバカにされたり愛されたりしながら石の塔を積み続ける変人の男と、よその町から「はぐるま」(つまり機械ね)を持ち込んで町の拡大、人工の増加をはかり、砂漠に対抗しようとする男・・・ま、単純に片づけてしまえば文明対自然、ということになってしまいますが、そのどちらにも必死な夢がある・・・ということと、そのどちらにつくかで悩むパン職人の息子の成長が単純な自然対文明ではない、物語の奥行きを出しています。
 これがデビュー作だそうですが、これで新人なら期待できそうよ・・・。(赤木かん子)書き下ろし