徳間のゴホン!第26回「世界で、日本で」


           
         
         
         
         
         
         
    
 総刊行点数が260点を超えた徳間の児童書。その中には、国内や海外で、著名な賞を受賞した作品が数多くあります。今回は主だった作品をご紹介しましょう。
 まずは児童文学から。
『夏の庭―The Friends―』は、現在活躍中の作家湯本香樹実さんのデビュー作。国内では<児童文学者協会新人賞>と<児童文芸新人賞>を受賞したほか、英語、ドイツ語、スペイン語をふくめ12ヵ国語に翻訳され、アメリカでも<ボストン・グローブ=ホーン・ブック賞>など三つの賞を受賞した作品です。三人の少年と孤独な老人のかけがえのない夏を描き、映画にもなった話題作です。
『小さなソフィーとのっぽのパタパタ』は、オランダで最も優れた文章に贈られる<金の石筆賞>と最も優れた挿絵に贈られる<金の絵筆賞>を両方受賞、そのうえ、ドイツで最も権威ある<ドイツ児童図書賞>も受賞した作品。生と死、夢と現実を詩的な文章と美しい絵で描き話題をさらった作品です。
『レモネードを作ろう』は、アメリカの<ゴールデン・カイト賞>、日本の<産経児童出版文化賞ニッポン放送賞>などの賞を受賞した、現代アメリカのかたすみに生きる少女達の姿を生き生きと描いた話題作です。
 絵本にもたくさん受賞作品がありますが、少しご紹介すると…
 山奥の清流で生まれた一匹のヤマメの一生を描いた四部作『ヤマメのピンクシリーズ』の『ピンクとスノーじいさん』は、ボローニャ国際児童図書展で<グラフィック賞>を受賞、『ピンク! パール!』は、ブラティスラヴァ世界絵本原画展で<金牌>を受賞した作品。優れた画面構成と展開に、世界が注目したシリーズです。
『かようびのよる』は、アメリカの最も優れた本に与えられる<コールデコツト賞>を、日本では優れた翻訳作品に与えられる<絵本にっぽん賞特別賞>を受賞しました。不思議なことが起きた一夜のようすをリアルな描写と映画のような画面展開で見せてくれる画期的な絵本です。
『たったひとりの戦い』は、ユネスコの<寛容と平和に貢献する児童図書賞>を受賞。知恵を武器に平和を目指した王子の姿を描く、美しく力強いフランスの寓話絵本です。
 紙面の都合で、全部はとても紹介できませんが、世界で日本で高く評価された本がたくさん! ぜひご一読ください。(米田佳代子)

児童文学
『夏の庭―The Friends―』湯本香樹実作
『小さなソフィーとのっぽのパタパタ』エルス・ペルフロム作/テー・チョン・キン絵/野坂悦子訳
『レモネードを作ろう』ウァージニア・ユウワー・ウルフ作/こだまともこ訳
絵本
『ピンクとスノーじいさん』『ピンク! パール!』村上康成作、絵
『かようびのよる』テヴィッド・ウィーズナー作、絵/当麻ゆか訳
『たったひとりの戦い』アナイス・ヴォージュラード作、絵/平岡敦訳

徳間書店「子どもの本だより」2002年11-12月号 より
テキストファイル化富田真珠子