逃げ出したお皿

飯沢匡:作
土方重己:絵 理論社

           
         
         
         
         
         
         
    
    
 お皿が「あかんべえ」をするって、知ってますか。うそだと思う子は、この本の「ナツオ君」に聞いてごらん。ナツオ君はむきになって、お皿がナツオ君の目の前から逃げ出してから起こった、不思議で変テコリンな、だけど、だれも思いつかないような冒険物語を、話してくれると思うよ。
 その話の中には、「夕日は悲しい人たちの涙でできてる」という、詩のような言葉も出てきます。それに、真っ先にお皿と会話し始めた、ナツオ君の家の近くの高校生のアケミお姉さん。ムサシって名前のネコを可愛がっているおばあさん。肝心のナツオ君。この三人と一匹の仲間が、なぜ強盗に捕まったのか−。
 トンネルの中には水族館があって、いったい、どこに出るのか。ブーボン博士の願いは本当は何なのか。博士の造った、ボタンを押すと食べ物が何でも出て来る機械。
飛行船にも潜航艇にもなる乗り物。しかし、難破してしまい、着いた所は無人島。島では火山の爆発、台風の襲来。そればかりか、さあ無人島で大変なことが起こって・・・・。
 お皿はUFOかな? みんなの兄さん、姉さんの大好きなSF小説かな。実は、地球の未来を考えさせる冒険物語。飯沢、土方コンビの絵話。ブーボン博士シリーズのひとつ。
(服)=静岡こどもの本を読む会
 テキストファイル化清水真保