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高校生に日本の昔話の中で知っているものをあげてもらったところ、浦島太郎、桃太郎、舌切り雀(すずめ)、一寸法師とたちどころに十話以上あげてくれました。ただ、これらの話を知ったのがテレビアニメからがほとんどで、次が本。大人から語ってもらって聞いたというのは皆無でした。 子どもに昔話を語り始めても、知っていると思っていた話を思いのほか覚えておらず、あわててしまうことがあります。そんな時にこの本があると、たいそう助かります。日本の昔話の中から、代表する話を百話選んでありますから、ほとんど知りたいと思う話を探すことができます。 地方別に「北国の昔・中の国のむかし、西国の昔」と配分されています。その話が語られた風土が感じられる方言を、会話のところに採録しています。語りにくければ、簡単に共通語に言い換えることもできます。どの話も「原話を重んじ、できるだけ原話に忠実であることを志しました」と初めに書かれている通り、語りやすく、読みやすい本です。 中の国のむかしに、浜松の「豆と炭とわら」の短い話、小笠郡の「とび不孝」があります。親の言うことに何でも反対した息子が、トビになった話です。夜長になったこのごろ、昔話を声を出して読んで、先人たちの知恵を楽しむのも、いかがですか。(小)=静岡子どもの本を読む会
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