日曜日の歌

長谷川集平/作
好学社 1981

           
         
         
         
         
         
         
     
 これはホントにおかしい本で、私は何度みてもやっぱり笑ってしまいます。日本でこういう本描く人は珍しい……やっぱり関西人やなァ、このセンスは──。
 主人公の男の子、小学校四、五年ってとこかな……彼の絵日記ふうに話はすすみます。
 かなりの暴れん坊で、ケンカは毎日。でもよくみると、毎回勝っていそうだね、こいつは。
 で、そのたんびにとうちゃんとかあちゃんは四方八方頭を下げてまわんなきゃならない。
 でもさ、息子には怒んないのね。え〜っ、どうして? って思うヒト、いるかい?
 そう思う人はね〜、う〜ん……子育てにはむかないな。悪いこといわないからやめときなさいね。犬や猫の飼い主にもむかない……と思う。
 で、日曜日。三人はうきうきした顔をしています。とうちゃんは特に張り切っている。草野球でピッチャーやるんだもんね。でも、結果は……ボロボロ……。
 と、ここでとうちゃんの怒りが爆発します。この一週間の憤りが全部甦ってきて、なんにもしない息子の頭をいきなりバカヤロウ、ポカリ! とやるわけ。
「あんなことしやがって、この不良!」だって。
 でも息子だってここで真正面から怒ったりしない。いきなりどつかれて腹は立つけど、それだけのことはしてる、というのも承知してるわけよ。
 あ〜ぁ、いい家族だよね、この三人て──。
 このとうちゃんもかあちゃんも息子も、全部いいです。別に、みんなこういうふうになってくださいっていうつもりはありません。が、でも精神だけは、汲み取ってください。(赤木かん子)
『絵本・子どもの本 総解説』(第四版 自由国民社 2000)
テキストファイル化岡田和子