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「難しい年頃」と大人達はよく口にする。彼らは干渉を嫌い、家族はとまどい、家の中は緊張する。彼らが子どもの殻を脱ごうともがいている姿は、しかしよく見るとまっすぐで、みずみずしく、ガラスのような世界を持っている。家族ははらはらしながらも、見守り、支えていける存在なのだろうか。 この物語の主人公、原田巧は中学入学前の春休み、父の転勤で母方の伯父の住む家に越してきた。小学生の時からピッチャーとして絶対的に自信を持つ巧は、中学でも当然野球をやるつもりだ。そんな巧を待っていたかのように、同じ年の水倉豪という少年に出会う。豪はキャッチャーだった。そして、巧の投げた球は、心地よく、力強く、豪のミットに受けとめられ、お互い最高のバッテリーになることを確信した。今まで、自分の力だけを信じてきた功は、投げた直球を受けとめてくれる相手を得たことで、人の信頼関係にも目覚める。 純真な気持ちでぶつかってくる弟、元高校野球の名監督であった祖父、そして両親といった家族は功の真の監督であり、サポーターといえるかもしれない。そんな中で、自分の足で思う道を行こうとしはじめた少年達がまぶしいほどに描かれた作品である。続編の『バッテリー2』と合わせて一つの作品といって良いかもしれない。まとめてお読みいただきたい。(M)
箕面市学校図書館司書連絡会発行「教職員むけおたより『L-メール』」1999/10
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