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おっ、なんだか元気なタイトルじゃないか、と手にしたこの本『ビビンバ・パラダイス』(こばやしあゆみ著、偕成社・1400円)は、中身もエネルギッシュ、お父さんの転勤で中3の秋から高2の春まで一年半、韓国のアメリカンスクールのかよった女の子の体験記だ。 女子校にいた「わたし」にとってアメリカンスクールライフとは、金髪のボーイフレンドと腕組んで思い切り青春することだったはずなのに、その夢は転校一日目に無惨に破れてしまう。 英語にはちょっと自身あったのに、英語が自国語の人からは話しかけられてもニタニタ笑うのが精いっぱい。出入りが激しい生徒たちの中には、ドラッグをやっているアブナイ連中もいたりして、もう「わたし」のまわりはあれこれごたまぜのビビンバ(韓国式混ぜごはん)みたい。 学園ユーモア小説というかんじで楽しく読めてしまうのだけれど、それでいてなかなか考えさせられたりもする。日本語がしゃべれるメイドのおばさんが、「おばさんが小学校のころはね、・・・みんな日本語をしゃべらされて、もし韓国語を・・・ちょっぴりでもしゃべったら、たたかれました」というところなんか。 複雑な気分になることが多いけれど、これからますますごたまぜになりそうな日本とアジアの関係を、「わたし」みたいに元気をだしてのりきっていきたいもんだ。(芹沢清実)
朝日新聞 ヤングアダルト招待席1991/10/20
テキストファイル化 妹尾良子
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