びりっかすの神さま

岡田 淳・文・画
偕成社

           
         
         
         
         
         
         
    
    
 学習も、給食も、運動もなんでも競争する教室。テストの点数によって席まで決まってしまう学級。
 その四年生の学級に、始(はじめ)という転校生がやってきた。始は、この教室にいる小さい男「びりっかすの神さま」を見た。ほかの子には見えない。
 しかし、一人、二人と見えるようになり、やがて全員が見えるようになってしまう。みんなで、心を開いて助け合い、励まし合い、教え合い、なんでも全員ができるようになる。先生はみんなの急に変わっていく姿に、体がおかしくなってしまう。
 運動会の学級対抗全員リレーでは、みんなで助け合い、どの子も自分の力を出しきって一等になり、とびあがって喜ぶ。
 それからは、だれにも「びりかっすの神さま」は見えなくなり、先生と一緒に新しい学級づくりが始まる。
 男の子も、女の子も共通して読むことができ、読んだあと、感動がいつまでも残る読み物である。
 (野)=静岡子どもの本を読む会
テキストファイル化塩野裕子