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『ビルギット』は字も大きいし、そんなに難しい話ではありません。 お姉さんの脳に腫傷ができて手術しなくてはならなくなリ、お父さんやお母さんは動転する、という現場に居合わせた、五、六歳の女の子の話です。 でもそれを、全部その子の皮膚感覚で描けているのが凄いところで、たとえばまだ彼女は、死ぬとか、手術は大変とか、いうことがピンときません。 両親がお姉ちゃんにかかりきリになっちゃったので、淋しくなったり怒ったリ、病院で、包帯でぐるぐる巻きにされてるお姉ちゃんを見て笑ったり、自分もああしたいと思ったり、学校で先生に大変ね〜と言われて注目されてスター気取りで有頂天になったり、〃死ぬ〃ということがわかっている大人にはとてもできない反応を、彼女はするわけです。 でも確かに…そうかもしれない……。 小さい子って、自分にわかったとこだけつなぎ合わせて自分流に解釈して納得するんだもんね。 それを描けるこの作者は腕がいい、と思うけど、実際に七、八歳の人たちがこれを読んでどう感じるかは、やっぱリさっぱリわかリません。 大人は、し〜ん……とするでしょうけど-。 と同時に、大人が、自分はこう感じている、こう思っているんだから、この子もそうに違いない、もしくはわかっているに違いない、と思い込むことがどんなに間違っているかを教えてくれます。(赤木かん子)
『かんこのミニミニ ヤング・アダルト入門 図書館員のカキノタネ パート1』
(リブリオ出版 1997/09/20) |
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