ぼくのかあさん

ヒュー・ルーウィン・文 リサ・コッパー・絵
多田ひろみ・訳 すぐ書房

           
         
         
         
         
         
         
    
    
    
 かあさんはたいようのよう。あさ、ひがさして、かあさんのつくるりょうりのにおいが、ただよってくると、ぼくはおきる。ゆうはんが、おわると、おはなしのじかん。ぼくは、なぜかそのときのかあさんがいちばんすき。…
 「ぼく」は黒人の男の子。名前はジャフタ。ジャフタは、母さんが大好きです。母さんに抱き上げられるジャフタの顔が、母さんに全幅の信頼を寄せ、満足そうです。料理をしながら歌う母さんの前で、ちょっと味見?をしているジャフタ。母さんに毛布を掛けてもらって眠ろうとしているジャフタ。外には、三日月がでています。
 家族って、日本もアフリカも、ちっとも違いはないですね。茶色一色でまとめられた絵に、家族のぬくもりが伝わってきます、特に、裏表紙のライオンの子を抱えたジャフタと、抱えられているライオンの子、双方の笑顔がいい。ジッと見ていると、見ている人の心にも、ほほえみが浮かんでくる。そんな絵が、いっぱいの本です。
 作者のルーウィンは南アフリカ共和国生まれの白人で、学生時代からアパルトヘイト(人種隔離)に反対し、25歳の時、投獄され7年後、国外追放になったという経験があります。
 主人公の名前は、大学時代の黒人の友人で、のちに秘密警察に殺されたジャフタから取った、といいます。「ジャフタ・シリーズ」は、すでに12カ国語に翻訳、出版されています。このほかに、「僕はジャフタ」「ねえさんのけっこん」も。読んであげるなら、幼児から。
=静岡子どもの本を読む会
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