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人はだれでも子どもの時から地図になじみ深いのに、実際地図を片手に、見知らぬ土地を旅する機会は少ない。 今、ズッコケシリーズなどで小学生に人気のある那須さんと、「絵で見る日本の歴史」で絵本にっぽん大賞を受賞した西村さんが、初めてコンビを組んだユニークな大型の地図絵本。主人公は小学五年生の二人。「だいじょうぶ。絶対にいける」自信満々のシンちゃん。「歩いていけるかな」と不安なタモちゃん。二人は瀬戸内海に面した半島の駅から岬の灯台まで十二キロの道を二万五千分の一の地図をたよりに出発する。 田んぼ、がけの山…途中細い道に迷いこんだりする。二人の少年の心理を織り込みながら、農業や林業などにたずさわる人々の暮らしなども美しい風景画で描いている。画面の右上に現在地の地形図が示されていて、最初のページの全体図と照らしあわせながら読み進める工夫、地図のみかた、使い方も盛りこまれている。最後のページのイラスト「あとがきとさくいん」が、また楽しい。そこには主人公の二人が歩いた道々のことが、ヘビまで含めて描いてある。 子どもが繰り返して広げるうちに見覚えのある風景を見いだして「一度、地図を手に自分の足で歩いてみたい」と思わせる本である。 (安) |
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