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ポテトは途中で雷雨にあってびしょぬれになり、ぶたの女の子トマトに出会い、おへそをかくすむぎわら帽子をかりて家に帰るが、途中でその帽子を川へ流してしまう。翌朝あやまりに行こうとしてドアをあけると、かわうそ・クルリが川から帽子をひろってとどけてくれたことがわかる。 「ワシワシ……とセミが なき、空には まぶしい まっ白な 雲の みねがそそりたってい」る中をポテトは出かけてトマトに帽子を返すのだが、あまりうちとけずに別れる。これは、「うれしいときは、はずかしい」ので、うまく言葉が出てこないためだったと、後でわかる。 この物語は、筋を追うのではなく、キャラクターの心の動きや、彼らの住む時と場所が見せる自然のたたずまいなどを楽しみながら読むものである。美しくて、ヒューマンで、ユーモラスな、心のくつろぎの世界がある。(渡辺洋二のさしえは、いつ見てもいいねえ)。(神宮輝夫)
産経新聞 1996/09/27
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