白狐魔記蒙古の波

斉藤 洋・作
偕成社 1998.6

           
         
         
         
         
         
         
     
 人間に興味を抱いたきつねが白駒山で修行をした後、白狐魔丸となり歴史上の人物と知り合いながら人間探求を続けていく物語。
 平安時代末、白駒山での修行へと向かったきつねが源義経に命を助けられ、源平の戦いを垣間見る。そして、修行の後白狐魔丸という名を得たきつねが今度は兄頼朝から命を狙われる義経に再会、義経に化身し追っ手から引き離すまでが「白狐魔記 源平の風」に描かれている。
 「白狐魔記 蒙古の波」時代は鎌倉。八五年の眠りから覚めた白狐魔丸は人間に化身し、時代の移り変わりを知るべく旅に出る。
 死罪にされようとしている日蓮、北条義宗の家臣に夜討ちされる北条時輔と家臣市谷小平太、そして、竹崎李長などの人物に白狐魔丸は出会っていく。また、自分と同様に人間に化身する狼、元の使者ブルテ・チョノとも知り合う。ブルテ・チョノは大陸に落ち延びた源義経の遺言を手に日本に攻め入ろうとしていた。蒙古(元)と手を組み白狐魔丸に倒幕を進めるブルテ・チョノ。家臣が命を落としても大陸にわたり生きていた義経に疑問を抱き、農民・町人をも惨殺する蒙古のやり方に白狐魔丸は怒りに燃えた。そして、嵐の船上でブルテ・チョノと白狐魔丸の一騎打ちとなる。
 なぜ、人間は生きるため以外にお互いに殺し合い、主君のために命を落とし、又、主君は生きていられるのか。白狐魔丸の人間探求物語は続いていく。
 「ルドルフとイッパイアッテナ」の作者が今回は狐の視点で、人間社会とその歴史を紐解くファンタジー作品。(近藤 久巴美
読書会てつぼう:発行 1999/01/28