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さて、今回の〃カキノタネ〃……ヤング・アダルト、パート1はですね…〃薄くてY・A……〃-これです。 我ながらなんちゅー分け方じゃ:::とは思うけど、ほかに思いつかなかったんです。 高学年の、特に翻訳物がヤング・アダル卜になってきている(といっても、その始まりは一九五○年代…そろそろ五十年経とうとしているわけですが)のは、もちろんみなさんよくご存知でしょう。 それが絵本にもY・Aタイプの本が増えたと思ったら、以前からチラホラはあった、見かけは低学年で字が大きくてしかも薄い、でも中味はY・Aというヤング・アダル卜タイプの幼年文学が、この二、三年どっと目立つようになったんですね〜。 ヤング・アダル卜化っていうのはどういうことかと言いますと、本来ならば大人のモンダイであることが子どもの世界に横すべりしてきていることですので、当然のことながらY・Aタイプの子どもの本は大人が読んで面白い本が多いことになります。 というわけで、いま日本で高学年用のY・Aタイプの児童書をせっせと読んでいるのは、その本と同じような問題を抱えている、二十代、三十代、四十代……の大人の、特に女の人たちです。 でもその人たちも、まさか一、二年生用に見える本の中に、自分にとって面白いものがあるなんてことまでは、まだ気がついてない……でしよう。 そして、そういうY・A夕イプの幼年文学は、子どもが読めるものと、子どもには無理なものとに分れています。子どもだってそういうモンダイを抱えているわけですから、子どもにわかるように表現してくれてるヤング・アダルト幼年文学はぜひ欲しいところです。が、いかんせん三分の二くらいはたぶん、わからない本の部類に入ってしまいます。 というわけで、見かけは子どもの本だから児童室に直行……でも子どもたちはちゃーんと、わからないというのがわかってて(あれって不思議ね? どうして読まないでわかるのか……。カンがいいとしかいいようがないよ)手を出してくれない。 それを読んだらぎょっとするだろう大人の人たちも、まだあるのを知らない……そこで、ほとんど眠ったままの状態の本を発堀したい、というのがひとつ…。 それだったらついでに薄い本、ということで、中学や高校の図書室、公共図書館のY・Aコ-ナーを思い浮かべて、そこに置いたらウケるだろうな、というビジュアル本と、これまた去年あたりからたくさん出てきた小型で薄くてハードカバー、きれいな表紙がついていて、内容的にもイラス卜的にも子どもというよりティーン向け……という本も集めて みました。 もちろんこれだけでY・Aコーナーはできません。高校の図書室なんて、夏目激石やシェイクスピアまで揃えなければならないのですから、当然内容的にY・Aでないものもいっぱい入ってきます。 というわけで、これはあくまでも顔見せ、ブティックのショーウィンドーのようなものです。 公共図書館はまだそれでもY・Aコーナー以外のところに頼れますから、かなりコーナー用の本を絞ることができますが、特に高校では〃アンパンマン〃を入れなくてはやっていけないところから〃ヴィ卜ゲンシュタイン〃を入れても借り手がつくところまで、本当に千差万別です。 こーいう本もあるんだ〜、フンフン……という情報を仕入れて、自分のところの実情に合わせてご利用くださるようにお願い致します。(赤木かん子)
『かんこのミニミニ ヤング・アダルト入門 図書館員のカキノタネ パート1』(リブリオ出版 1997/09/20)
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