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キマちゃんは、六十年ほど前、広島県に住んでいた、朝鮮人の女の子。そのころ朝鮮(今の朝鮮民主主義人民共和国<北朝鮮>と韓国)は日本の植民地だったため、人々は不当な差別や迫害に苦しんでいた。人一倍子煩悩な両親や、同胞たちに守られて育ったキマちゃんも、小学校に入ると様々ないじめにあい、心傷つき、学校へ行かなくなる。 心配した両親は引越しをして、娘を転校させる。そこで出会った担任の岡広先生によって、キマちゃんは読書好きで、積極的な子になっていく。 やがて日中戦争が起こり、太平洋戦争へ突入する。 幼名を「キマ」と呼ばれた著者が、幼時から少女時代までをつづったこの物語は、在日朝鮮人一家の記録でもある。 折々に著者は、かつて日本が朝鮮の人々に行った過酷な迫害を、史実に基づき、冷静ながら深い怒りと悲しみをこめて語る。と同時に「半分のふるさと」日本と、キマちゃん一家に接した、岡広先生や藤井先生、横尾さんら心ある日本人たちに、あふれるほどの懐かしさを寄せる著者の人柄に感動させられる。 小学校高学年から大人までぜひ読んでほしい一冊。
(和)=静岡子どもの本を読む会
テキストファイル化山口雅子 |
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