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ピーター・カーターはサトクリフとは対照的な作家です。いわば、ハードボイルド……男っぽい……といっても女性差別するわけじゃないんだけどね。ただ彼は徹頭徹尾男の子、少年、男だっていうだけです。サトクリフがロマンなら、カーターの歴史観は、戦争は経済が起こす……これです。 というわけで児童書の読者に女性が圧倒的に多い日本では、カーターに人気が出るなんてことはあまり考えられませんが、家康だのビジネス戦争に勝っだのを読む男性には、案外ウケるかもしれません。『運命の子どもたち』なんて、例のあの、二百三高地がモデルなんだよ……なんていう解説をすれば。 でも、やっぱり代表作一作、といわれたら『果てしなき戦い』だろうな。イングランドの小さな海辺の村がバイキングに襲われ、村中みな殺しにされ、一人の少年が連れていかれます。 そうしてむこうでの暮らし、言葉にやっとなじんだ頃、彼はイングランド征伐に駆りだされます。 殺された両親のカタキをとったあと、彼は教会に逃げ場を求め、神を信じ、やっと安らいだかと思ったとたん、教会が民衆を裏切り搾取していることに気づき、怒り狂って野盗になって、人殺し、略奪、荒れ狂う心のままに暴れるのです。 この傷ついた青年がどんなふうに癒され、救われるかは圧巻だよ。暴れ馬に乗せられたような気がしますが、読んだあとは快感! です。(赤木かん子) 『かんこのミニミニ ヤング・アダルト入門 図書館員のカキノタネ パート2』 (リブリオ出版 1998/09/14) |
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