星の王子さま

サン=テグジュペリ:作/内藤濯:訳
岩波書店

           
         
         
         
         
         
         
     
 これはもうとてつもなく有名な本で、初めから〃高級な童話〃……〃大人が読む童話〃というかたちで知れ渡っていますから、これを一般には置かないにしても、ヤング・アダルトコーナーに入れるのに異議を唱える人はいないでしよう。
 でも、全然そういう知識のない人が見たら、やっぱり純粋な幼年文学だと思っちゃう……と思うよ。
 実際たいていの図書館では外国の子どもの本の〃ほ〃のところか(タイトルでとればね)〃て〃のところ(作者名)にあるでしょう。
 でもそこに置いてあっても、この本は小学校一年生のためだけの本じゃなくて、いわば特別なのよね!という扱いを受けているわけです。
 だからそこにあっても借り手はつきます。子どもの本コーナーに置いてあるからこそ特別に箔がつくかもしれないと思うくらいです。
 でも実際に子どもたちがあの本を読んでいるかといったら…!?
 私に関しては、小さいときまったくダメでした。でも大きくなってもダメだったんです。
 私はあの物語をいいと思えたことが一度もないんです。
 サン=テグジュぺリのほかの本は好きだし、あの本の書き出しの、へビがソウを飲み込んだ絵を描いたのに、大人はみんな帽子の絵だとしか思ってくれなかった……という話はものすご〜く好きなのに、本文がダメなんです。 だからこの本に関しては、子どもも読むのかどうか、まったくわかリません。みなさん各自で観察してください。(赤木かん子)
『かんこのミニミニ ヤング・アダルト入門 図書館員のカキノタネ パート1』
(リブリオ出版 1997/09/20)