子どもの頃、「ぺット」がほしくてほしくて親におねだりをしたこと、ありませんか。でも、そんな子どもの願いをすぐにきいてくれる大人ってそんなにいないのでは?
 今回は、ぺットに関する三冊の絵本を紹介します。
 まずは「いぬがほしいよ!」。この本はいぬのほしい人、買ってもらいたい人にはぜひ読んでほしい冊です。いくら「いぬがほしい」って訴えても、パパとママの返事はいつだって、だめ。「いぬの世話をするのはたいへんなんだ。途中でやめるわけにはいかないんだよ」と言われた主人公メイは元気な女の子、こう諭されてもあっさりとあきらめるはずありません。「それならば」とメイは、なんと「いぬを飼ったときの練習」を始めてしまいます。ローラースケートの靴をまだ見ぬ子いぬに見立て、近所を散歩してまわるメイ。う〜ん、こういうアピール作戦もあったのか、とメイの豊かでユニークな発想に思わず拍手を送りたくなります。
 次に紹介する「こいぬ、こいぬ、わたしのこいぬ」は、一歩進んで、かわいい子いぬを大事な家族として受け人れていくまでを描いた絵本。主人公のアンナはいぬが人好き。部屋のなかはどこもかしこもいぬだらけ。スリッパも、カーテンも、ぬいぐるみも湯たんぽもみ〜んないぬ。でもアンナの家には本物のいぬはいませんでした。「いぬがほしい」というアンナの願いはついにかない、ある日子いぬがやってきます。ようやく飼えることになって大喜ひしたアンナでしたが、子いぬは想像以上にやんちゃで、いたずらばかりで、育てるのはたいへん。お気に人りのおもちゃはもちろん、人事な教科書までかじられてずたずたになってしまいます。とうとうアンナの怒りは爆発してしまいます。こんないぬだいっきらい! アンナのセリフに大きくうなずきながらも、ぺットを飼えなかった身としてはそんな悩みもうらやましい。
 ぺットとの関係を通じて子どもたちは大人以上にたくさんのことを学ぴます。
 最後に取り上げるのは「バーニーいつまでもいっしょだよ」。タイトルからおわかりのように、かわいがっていたねこの死を通して、大きな悲しみと、それを乗り越えていく子どもの姿を描いた作品です。生命の輝きと、やがて訪れる死…、幼い人たちにもぜひ読んでもらいたい一冊です。(星野博美

「いぬがほしいよ!」 ダイヤルカー・カルサ作・絵 ごとうかずこ訳
「こいぬ、こいぬ、わたしのこいぬ」キャサリン&ローレンス・アンホルト作・絵 なかがわちひろ訳
「バーニーいつまでもいっしょだよ!」 レイチェル・パンクさく さいとうみちこやく
徳間書店 子どもの本だより 徳間のゴホン! 第6回「ペッ卜をめぐって」1999.06