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中国における民主化要求の武力鎮圧の事件は、戦争を知る世代、知らない世代それぞれに受け取り方の違いがあったのだろうか。かつて中国に攻め入り、三千万人にたっする中国の人々を死に至らしめたのは、日本の国家であった。その道義的な問題をいまだにあいまいにしている日本国の事件当時の首相が、こんどの事件に関して、人道的見地から許せないと中国国家を非難するのは皮肉である。 中国ということで、最初に思いおこした子どもの本がある。戦争を知る世代が戦争を語る時、ともするとその悲惨さや残酷さばかりが伝えられたり、中国(または朝鮮)への贖(しょく)罪意識ばかりが強調されがちな戦争児童文学が多い中で、この本は読む度に元気が出てしまう。 少年兵杉田隆が中国の若者と知り合い、逆にはげまされ、それでいて最後まで日本兵でありつづけるというストーリーには、他の日本の戦争児童文学にありがちなセンチメンタリズムを排した乙骨の生きることへの執着があらわれていると言える。 こんどの事件では、刻々と伝えられてくる中国の情報に、友人が殺される思い耳や目を傾けていた若者が日本にもいるはずである。民主化要求に立ちあがった新たなイェン・ユイたちに、今度は我々が励ましを送る番なのだ。戦争を知らない世代とは、“平和”の残酷さを知る世代でもあると思うのだが、いかがなものであろうか。(友)
静岡子どもの本を読む会
テキストファイル化杉本恵三子
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