ポリーとはらぺこオオカミ

キャサリン・ストー・作
掛川恭子・訳 岩波書店

           
         
         
         
         
         
         
    
    
 長いこと品切れになっていた岩波ようねんぶんこがせかいのどうわシリーズとして再版されました。その中の一冊がこの本です。
 おとなの私でも一人で留守番をしている時怖い人が来たらどうしようかと考えます。ポリーのところへもオオカミがやって来ます。「ポリーおまえをくってやるぞ」と言います。ポリーは明るく冷静にオオカミを台所に連れて行ってパイを切ってやります。オオカミはパイを腹いっぱい食べてしまったのでポリーを食べないで「またべつの日に」と言って帰ります。次の時はチョコレートケーキ、また次はタッフィーを食べてポリーを食べるチャンスを逃してしまいます。「オオカミと豆の木」はジャックと豆の木、「ポリーずきん」は赤ずきんのパロディーです。昔話をベースにしたお話が五つ入っていて、オオカミは昔ばなしの筋書きで行動し、ポリーは自分で考えて活躍しますから、どうしてもオオカミがまけてしまいます。ポリーもオオカミもさわやかです。
 このシリーズからおもしろい本を選んで読むことをおすすめします。

 (亮)=静岡子どもの本を読む会
テキストファイル化塩野裕子