ヴァン・ゴッホ・カフェ

シンシア・ライラン卜:作
中村妙子:訳 偕成社

           
         
         
         
         
         
         
         
     
 これはまた、ちょっと変わったファンタジーです。
 カンザス州フラワーズのメインストリートの、昔は劇場だった建物の隅っこにある〃ヴァン・ゴッホ・カフェ〃(つまリ、喫茶店ね)は、劇場だったせいもあって魔法がつきまとうことになったのかもしれない……と、お話は始まリます。
 劇場のステージには不思議なことが、魔法があふれているものだからというわけです。こけら落としから何年経っても、魔法は、劇場だった建物につきまとうものだそうです。
 魔法はマークという若い男がこのカフェを買い取り、十歳の娘クララとカフェを始めたときから目を覚ましました。
 マークは「愛犬、大歓迎」という札をレジの上にかけて「おかえリ、ここはきみの家」という歌をプレイヤーから流し、カフェを始めたのです。
 まあ、このマークと、十歳にしては分別くさすぎるクララも魔法の一部なのかもしれませんが、そうやってこのカフェは人々に自分を取リ戻させ、愛を取リ戻させ、行く道を示してくれる場所になったわけです。
短い話が六つ、入っています。
 どっちかというと女の子向けと言えるでしょう。
 中学や高校で読んでやったらウケるかもしれない……。
 小学校五年生でも、赤川次郎あたりを読んでる子なら楽しんでくれると思いますが、これは基本的にはY・Aコ-ナ-行きだと思います。
 表紙もなかなかいいよ。(赤木かん子)
『かんこのミニミニ ヤング・アダルト入門 図書館員のカキノタネ パート1』
(リブリオ出版 1997/09/20)